恋人⇆セフレ
第13章 モヒート
「好きだ。好きだ伊織。好きすぎて苦しい」
「はい、俺も好きです」
伊織の瞳は、愛しさとはまた別の感情で、ふにゃりと緩められた。
そして後頭部に大きな手が添えられて、引き寄せられたと思うと、動物の戯れのように頬やおでこをすり寄せられる。
耳に唇をつけられると、泣きそうになった。
「愛してます。今までも、これからも、愛してる」
でも、いつも伊織は俺を泣かせるようなことをするから、俺は悪くない。決して泣き虫なんかじゃない。
こいつはいつも狡い奴なんだ。
「んっ」
今度はお互いが噛みつくようなキスを交わした。
まるで存在を確かめ合うように、もう腕の中から消えないように、強く抱き合って熱を触れ合わせる。
「あっ」
性急に首筋に顔を埋められると、ジンとした痺れが全身を回った。