恋人⇆セフレ
第13章 モヒート
言葉はもういらなかった。
触れ合った瞬間、お互い何が欲しいのかもう分かりきったことだったから。
「んっあぁ…」
着込んでいたスーツはみるみる脱がされ、冷たい空気に触れたことによって立ち上がった胸の頂を指で摘まれる。
「んっ」
その間にも鎖骨を噛まれたり、強く吸い付かれたりして跡をどんどんつけられていく。
俺もはだけた伊織の首元に吸い付いて、所有の印をつけた。
それに気づいた伊織が胸元から顔を上げて、濡れた唇の端を緩く上げる。
「もっとつけていいですよ」
「っ」
ああ、こういう時の伊織はむせ返りそうなほどの色気を纏うから厄介だ。
「…伊織も上全部脱いで」
悔しいから伊織の窮屈そうなネクタイを緩めてから取り上げ、ボタンを性急にとっていく。
「ゆっくりでいいですよ」
「待てねーもん」
この服を全部脱がしてしまったら、あの綺麗な肢体が現れるのかと思うとドキドキする。
1つ、また1つとボタンを外すと、見えて来る素肌の色。そこに唇を落としながら最後のボタンを外すと、伊織のしなやかな体が晒された。
「…ほんとにムカつくくらいいい体だな」
「ふは、気に入ってくれてて嬉しいです」
「うるせー」
口悪く言いながらも、体は正直とはこのことか。さわさわと、いくつもの筋肉が盛り上がった腹を撫でる手は止まらない。
でも、今日はこれだけを堪能するわけじゃない。
「ん、」
腹を撫でる流れでズボンの隙間に少しだけ手を入れると、伊織がピクリと体を跳ねさせた。
あ、ちょっと勃ってる。