恋人⇆セフレ
第4章 上書き
「遊園地…は人が多いからヤダ。猫カフェは可愛いけど猫アレルギーだから無理。映画は新作ほぼ観たし…スポーツ観戦は周りの熱気が無理」
「なるほど、覚えときます!」
「ふっ覚えなくていいよ」
我ながら超面倒な奴だと思うが、無理して行ってバレたら逆に気を遣わせ兼ねない。まあ行きたくない気持ちが7割だけど。
あとは……
と、埋もれがちだった青いパンフレットが目につく。
「水族館…」
「あ、ここホッキョクグマもいるって有名なとこですよ。イルカショーもこの時間なら観に行けると思います」
「クマとイルカ…」
「あ、見たそう。でもここも人多いと思いますけど、大丈夫ですか?」
「うん、行きたい」
昔、修学旅行で初めて行けるはずだった水族館だったけど、なんのバチか高熱で行けなかったんだよな。そっから行くタイミングがなくてここまできたけど…。
「じゃあ決まりですね。行きましょう」
まさか、初めてがこいつと行くことになるなんてな。
なんだか不思議な気持ちになっていると、当たり前のように手を引かれて歩き出す。
周りの目も気にせずこういうことするから若いんだよ、と言って離そうかと思ったけど、
嬉しそうな横顔を見ると何も言えなくなってしまって。俺は珍しく黙ったままそれを受け入れた、