恋人⇆セフレ
第5章 俺の犬
ま、まじか。
びっくりするくらい好みの身体だ。
「し、下も開けるぞ」
「…はい、」
まるで彫刻のような、均等の取れた上半身にごくっと生唾を飲み込んで、カチャカチャと紺のパンツのベルトも外す。
そしてチャックをゆっくりと下ろすと、スポーツ用なのか、ピチッとしたパンツが見えてくる。そこから覗く鼠蹊部(そけいぶ)には小さなホクロがあって、色気のあるそこに唇を落としたくなった。
…やばい。
「志乃さん、もしかして俺の身体、気に入ってくれました?ここ、反応してます」
「んぁ…きゅ、に弄るな…っ」
悪戯をするように指でちょんっと先を弄られて、反射的に背を丸めてしまい、おでこを伊織の肩に預けるようにして悶える。
「志乃さん可愛い」
柔らかい声色でそう囁いた伊織は、まるで甘えるように、俺の頭に自分の頭をこつんと寄せた。
「ねえ、志乃さん」
「なに」
究極に短い俺の返事にクスッと笑った伊織だけど、その声に熱が篭っているのはすぐにわかった。
俺の服越しでも感じるくらい、どくどくと力強く脈打つ伊織の心臓の音は、笑ってしまうくらいに早い。
「俺、本当は志乃さんが俺を好きだって思ってくれるまで待つつもりだったんです。さっきだって、最後までするつもりは全くなくて…」
「…」
直接頭に響く低めの声が心地いい。まるで寝物語のようにゆったりと話す伊織は、自分の気持ちを落ち着かせているようだった。
「でも俺、すげー貪欲っぽいです。
一回触っちゃったら、志乃さんが欲しくなってしまってダメですね」