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恋人⇆セフレ

第6章 悪夢




「ま…」


真木。と声をついて出すように名前を呼ぼうとしたその時、その体がグラリと揺れた。



突然のことに思考が追いつかず、鈍い音を立てて倒れ込んだ真木を暫く唖然として見下ろし。



「っ!!真木!?い、伊織!こっち来てくれ!」



数秒後はっとした俺は、無駄にでかい声で叫んで伊織を呼んだ。



こいつが倒れるのは初めてじゃない。でも、ダラリとした手とか、重たげに地面に体を預ける姿とか、それは何度見ても慣れることはなくて。今も尚、心臓は馬鹿みたいにドクドクしている。



水の入ったコップを手に慌てて来てくれた伊織は、俺のすぐに隣にしゃがみ込んで真木の様子を見た。



「ーーー大丈夫、眠ってるだけみたいです」


「そ…うか」



ほっと安心すると、自分までフラリと体が揺れた。
けれど流石の反射力で、伊織が抱きとめてくれる。


「悪い…」


「いえ。理由は何でも、倒れる人を見るのは精神的ストレスになるので仕方ないですよ」


瞳を細めて優しく俺を見た伊織は、ゆっくりと俺の体を真っ直ぐ立たせ、すぐに真剣な顔を俺に向けた。


「彼は俺が運ぶので、落ち着いたら汗を拭うタオルを持ってきてもらっていいですか?あとぬるめの湯もお願いします」


「あ、あぁ」


「大丈夫ですから、そんな顔しないで」



ーーー伊織にそんなこと言わせるなんて、一体俺はどんな顔をしてるんだ。


不安で綯交ぜになった俺の頬を安心させるように撫で、真木の腕を自分の肩に回した伊織が寝室に行くのを、俺は暫く見届けてから洗面所に向かった。



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