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恋人⇆セフレ

第6章 悪夢






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「あ〜っとりあえず落ち着いたな」



ドサっとソファに寝転がって、安堵のため息を吐く。時間を見ると、あれから2時間は経っていた。



汗を定期的に拭いて着替えさせ、水を飲ませるだけでこの疲労。歳なのか??とりあえず、目が覚めたらお粥を食わせないとだな。


「お疲れさまです」


「伊織もな。悪かったな、手伝わさせて」


カフェオレは1日一杯と謎の制限を伊織にかけられた為、伊織からもらったコップの中は冷たいお茶だ。


それを一気に飲み干すと、落ち着いたからか眠気がドッと襲ってくる。



「ここで寝たら風邪ひきますよ?」


「ん〜」


目をしょぼしょぼさせる俺を見て可笑しそうに笑った伊織は、カーペットに座って俺を膝の上に乗せると、ぎゅうと抱きしめた。


そして、ゆっくり体を倒し、自分を下敷きにして寝転ぶ。



「何だよこれ」


「これならあったかいかと思って」


「…重たいだろ」


「ちょっとだけね」


重たいのかよ!と睨み付けると、伊織はエクボを作って口角をあげて、その形のまま唇を俺のおでこに触れさせた。


「心が狭いと思われるかもしれませんが、俺は妬いてるんですよ」


「は」


「やっぱり付き合ってたんだなっていう空気を感じると、モヤモヤして堪らなかったんです」


茶色い瞳がすぅと細められる。


一緒に過ごすうちに見つけたこの癖とか。初めは気にしてなかった、笑うとできるエクボとか、筋張ってるけど柔らかい手とか、今は愛おしいと思う。


だから不安にならなくていいと伝えたいけれど、そんな気恥ずかしいことなんて言えるわけなく。


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