恋人⇆セフレ
第6章 悪夢
真木だけだった。
真木だけだったんだ。
両親の事故を知らされてすぐ、普段は汗も流さず、息も乱さない男が、汗だくで息を乱し、髪までも乱した状態で、呆然と病院で立っていた俺の元に駆けつけてくれたのも
泣き喚く俺を誰からも見えない場所で抱き締めてくれたのも
その後は、以前のように接してくれてそっとしていてくれるのも。
「真木」
「何?」
涼しげな瞳が俺をまっすぐと見おろす。無愛想な表情の中に慈愛が滲み出ていて、キュウッとなった。
もう俺は、真木がいない世界なんて考えられない。
願わくば、ずっと。
「ずっとお前と一緒にいれたらいいのにな」