恋人⇆セフレ
第6章 悪夢
はっと、強く息を吸ったことで目が覚めた。
呆然とするも、さっきまで見ていた懐かしい映像は夢だったのだと瞬時に理解する。ジワリ。嫌な汗が背中に滲んだ。
「…くそ、なんで今更こんな夢…」
呟いて、片手で口元を覆う。
『ずっとお前と一緒に』なんて無邪気に言う過去の自分が、今の状況を見たらどう思うか。
きっと、あまりにも自分が滑稽すぎて笑うだろうなと確信できる。
ーーというか、アイツはこの言葉になんて返事をしたんだっけ。
と、そこまで考えて、ふとカーテンから光が差していないことに気がついて、慌てて体を起こす。
今何時だ?
「伊織っ?」
そういえば、俺は伊織の上で寝てしまったはずだ。なのに今ソファの上で目が覚めたということは、伊織が運んでくれたのだろう。ブランケットまで丁寧にかけられている。
「伊織?帰ったのか?」
1人で寝ていたことに不安を感じて、伊織の名前を呼びながらブランケットを握りしめてソファから降りる。
そして、顔をキッチンの方に向けた俺は、すぐに顔を発火させた。
「し、志乃さん」
同じく顔を赤くさせた伊織は、すぐそばにあるダイニングテーブル用の椅子に座っていたらしい。
帰ってしまったのだと思って心細く何度も呼んでしまったのを、しっかり聞かれているのは明らかだ。
何より問題なのは、そんな志乃の向かいの席に、真木がいることだった。
ーーーーそうだ、こいつがいるんだった…!!