先生
第3章 時間
『何が気まづいの?』
ここまできて私に言わせようとする先生に期待していいのか
期待する"もの"は1つで。
「保健…」
『ん?』
「保健室…。」
『俺はあれについては何も言わないでおこうって思ってる。』
「なんで?」
『逆に聞いたら答えられんの?』
「ッ…。」
『ほら。ね?』
その言葉で私の涙は一気に止まった
ほら ってなんなの、やっぱ子供扱い?
先生のその発言で私は全てを悟った
子供には何も出来やしない、きっとそう思っているんだろう
状況を変えるために勇気を振り絞って私の気持ちを伝えるべきか、そのままグッとこらえて先生の話を聞くか
それとも…
この場から逃げたい気持ちに素直になって帰るか。
『俺は授業態度のことで話したくて呼んだんだけど。』
なんなの、
なんかもう意味がわかんない
あのタイミングで呼ばれたらそう思っちゃうでしょ
今、先生の考えている事が私には何ひとつ理解できなかった
「今日は話せないです、ごめんなさい。」
ドアに手をかけた瞬間、先生が私の腕を掴んで引き止めた
『じゃあ、いつ話せんの?』
「授業態度直せばいんですよね?直します。」
『何、その態度』
「…」
今にもまた泣きだしそうで帰りたいのに先生は掴んでいる手を離そうとしない
『俺は西本のこと思って言ってんのになんでそんな態度取るの?』
本当にもう無理だ
心がバラバラに砕けそうで。
「もう…離して!」
自分でもびっくりするほどの強い言い方でそう言った
先生が自分の腕からするりと手を離した隙に私は急いで教室から出て家へ帰った