先生
第5章 合図
今日は5時間目に社会の授業がある
何も期待していないし してはいけない
でも嫌な授業や作業があると
"5時間目まで頑張らないと。"
自然にそう思ってしまう
ふとした瞬間の気持ちに嘘はつけない
でも先生に迷惑かけないように
自分ばっかりが盛り上がっていたらそれは違うと思うから
昼休憩も終わり5時間目に入った
有嶋先生が教室に入ってきた
それだけで胸が高鳴る
見た目は必死にクールを装う
先生は明らかにいつも通りだった
周りが少しザワつく感じがしたけどすぐにおさまった
『今日はプリントじゃなくてノート書くから集中して書いてね』
今日は普通の授業だった
先生を見ているとなんだか変な気持ちになる
すごく好きなんだけどこういう時舞い上がっているのは私だけ
もちろん先生は仕事だからちゃんとやんなゃいけないしハグを目撃されて呼び出されて色々大変だったから当たり前の話なんだけどいつも通りすぎて
"俺も好き。"
この言葉が嘘に感じてしまう
付き合ってもないのに疑い始める私は何目線って話なんだけど。
とりあえず授業に集中しよう
『どんどん進めたいからもうこっちに書いてること消すぞ』
みんなは返事をする
ひとりでネガティブに考え事をしていた私は何も書いていなかった
けどお構い無しに消されてしまった
「ごめん、まだあっち側書いてないから見せて??」
「いいけど遅すぎだろお前。笑」
隣の鈴木に見せてもらいながら書く
少し馬鹿にされたけど結局は見せてくれた
でもこのやりとりが私を不運の道へと導くハメになった