先生
第5章 合図
分からないとこは小声で鈴木に聞く
「これなんて書いてんの?笑 」
「ん?…んーっ。うん、字汚すぎて俺でもわかんねえ笑 そんなもん雰囲気で書いとけよ!」
「雰囲気とかわかんないよ!なんで書いた本人がわかんないの?笑 」
「お前、見せてもらっといてその態度はないだろ!」
「いや本人もわかんないってやばいじゃん。笑 」
『西本、鈴木。お前ら喋りすぎ、ノートくらい静かに書け。』
先生に注意されてしまった
先生の顔を見ると明らかにきつい顔をしていた
やば、怒らせた
てかなによりすごい喋ってたからなんか変に思われなかったかな
それだけが心配だった
それから先生とは一回も目が合わず授業が終わった
放課後になって真菜と一緒に帰ろうと靴箱に向かっていたら階段で先生とすれ違った
「先生!」
すれ違いざまに先生を呼んでしまった
『ん、なに?』
先生は手に持っているプリントを眺めながら雑に返事をした
こっちを見る気配はなかった
「すいません、なんでもないです」
『そう?気をつけて帰れよ、さよなら。』
それだけ言って教室へ上がって行った
結局何も言えないまま一日は終わった
あの時 喋ってすいません! とか 怒ってますか? って聞けたら一番ベストだったんだろうけどそんな余裕はこれっぽっちもなかった