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先生

第6章 無心



10分程度待っていると階段から先生の靴の音がする


『ごめん、遅くなって。どうした?』


「大丈夫です。あの…」


『ん?』


「私今でも先生が好きです。頭ポンッてしてくれたことも少し騒ぎ立てられてしまったけどハグしてくれたことも幸せでした…すっごく。でも最近話す時間なくなってきて…」


『待って。』


「…?」


『もうそういうのやめない?』


「え…?」


『多分このまま好きでいるのは難しいと思う、お前も大学行ったり就職したりまだまだ未来がある。』


「それでもずっと先生のこと…」


『ううん、西本の気持ちは一時的なものだよ。歳頃だから気持ちが不安定な時期なの、皆。そんな時に俺がお前の傍に1番多くいたから好きって勘違いしてる』


「なんで…?なんで勘違いって決めつけるの?なんで先生がそんなこと言えるの?私の気持ちは私にしかわかんないよ!!」


『そういうことじゃなくてこのままだとお前に良くないって言ってんの。』



どんだけ声を荒らげても先生は冷静に現実的な話を続ける


『俺らは先生と生徒。』


『これ以上はない。俺ももう勘違いさせないように二人っきりになんないように気を付けるから。こういう話をするのももう最後にしよ』



私の気持ちは泡が次々と消えていくようななんとも言えない消極的な気持ちになった


『ごめん。今まで勘違いさせて、傷つけて。』



勘違いじゃないのに。"好き"の気持ちは曖昧じゃなくて確信なのに。



私はもう何も考えず教室から出た


そのまま家に帰るのもなんかなと思い適当にフード店へ入った

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