先生
第7章 行動
『あった?』
「あ!あった!」
『お〜、よかったじゃん』
「ほんとよかった〜」
『もう無くすなよ。笑』
「うん!先生ありがとう。」
『おう』
ほんの少しの間沈黙が訪れた
『正門まで一緒に行ってやるよ』
「いいよ、そんなの!笑 」
『なんで?』
「なんで?って言われても…別になんもないけど。」
『ならいいじゃん、別になんもしねえよ。笑』
「そんなこと思って言ったんじゃない!」
『はいはい、降りるぞ』
そう言った後階段を降りてあっという間に正門へ着いた
『もう寄り道せずすぐ家帰れよ、暗いし危ねえから。』
無言で頷く
『なんの為に口があるんですか。』
そう言いながら先生は私のほっぺをムニュっと掴んできた
『返事。』
「はい。」
『はい。そうやって返事する癖つけねえと。』
「うん。」
『じゃ。また明日な。ほんと気をつけろよ』
『ありがとうございます、さようなら。』
そう言って帰る時ははあっさりと挨拶を交わした
秋の夜風、空気は澄んでいて冷たい
ただ先生が触れたほっぺたと今まで一緒にいて高揚していた心だけがまだじんわりと温かい
その温かさを頼りに私は家へ帰った