先生
第2章 抑制
ガラガラ
「失礼します」
『うん。氷でいいの?』
「いや、わかんない…笑 」
『湿布にする?』
「じゃあ湿布にする」
すごくドキドキするこの空間。
場所も場所だ 保健室だから余計に。
『今体育バレーやってんだね。』
「うん、」
『そっか、体育得意じゃないの?』
「あんまり?笑 」
『意外だね!見た目そんなことないのに。』
「どういうこと。笑 」
『いや、俺の勝手なイメージ 笑 』
『てかお前の手にこの湿布じゃでかいよな。切って貼るね。』
先生の言葉一つ一つが私のことを見てくれていることを実感させる
その度に体温が上がるのがわかる
湿布を切って貼ってくれようとする
「あ、自分で貼る…」
『いいから。』
受け取ろうとした私の手を退けた
『手だして?』
先生は優しく湿布を貼ってくれた
『よし。…てかほんと手ちっちさいなお前。笑 』
切ってくれたはずの湿布も私の手には少し有余があった
『よし、おっけい?』
「うんっ。ありがとうございます。」
『ん、いいよ。あんま無理せず気をつけろよ。』
「っ…はい。」
『てかお前最近授業集中できてないけどなんかあったの?』
「あっ、いや。別になんもないです。」
咄嗟に嘘をついてしまった私
『そ?でもなんかあったら誰でもいいから相談しろよ。俺でもよかったら聞いてやるし』
そういう中途半端な優しさが私の気持ちを加速させる
体が勝手に動きだして先生の顔との距離はもう数センチ
唇が重なりそうになる瞬間、先生が私の肩を抑える
「ッ…」
『どうしたほんとに。』
「ごめんなさい」
『西本。』
「湿布ありがとうございました。失礼します。」
涙を拭い私は足早に体育館に戻った