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好きだって気づいたとき

第1章 色濃い2ヶ月

「お前、顔を見に来たって、うつったらどうするんだよ」

「だってもう熱下がったんだろ?
なら大丈夫だって。
自慢じゃないけど、俺風邪で休んだり家族がインフルエンザになってもうつったことないんだ。
だから大丈夫」


そう言いながら部屋に入ってきた。
俺は気になって、部屋の窓を全開にした。


「知哉駄目だよ。
熱が下がっても部屋を冷やしたらまた熱出ちゃうよ」


そう言って開けた窓を閉めた。


「お前の部屋、綺麗だし広いな」


ベッドにドサッと座った。


「何かさぁ、毎日会って毎日一緒に遊んでるのにさ、急に会えなくなると寂しいじゃん?」

「えっ?」

「卒業までいっぱい写真撮ろうって言ってたのに撮れなくて・・・」

「健人と雅人とは撮らないのか?」

「もちろん撮ってるよ。
そこにお前がいないのは寂しいなぁって」

「遼太・・・」


写真を撮り始めたころ、“前のところにいたよりたくさん思い出作ろ”って言われたときのように、何だか胸の奥のほうがキュン!ってなった。


「卒業間際にインフルエンザになったって写真があってもいいんじゃね?」

「何だよそれ」


こいつの発想力にはびっくりだよ。
マスクをしてパジャマ姿の俺をパシャパシャと写真を撮っていく。
何だか嬉しいような、照れくさいような・・・
ベッドに2人並んで座り、自撮りした。

週明けて月曜日、1週間ぶりの学校。


「久しぶりの学校。
みんなの顔が見られるの、超嬉しい!」


遼太が来るのを楽しみにしていると、電話がかかってきた。


「ごめん知哉、先行ってくんない」

「うん、わかった」


それだけ言って電話がきれた。


「どうしたのかな?」




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