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好きだって気づいたとき

第1章 色濃い2ヶ月

「あっ、知哉が来た!おはよう」

「おはよう。
健人、手紙届けてくれてありがとう」

「気にしない」

「知哉おはよう。もう大丈夫?」

「雅人もノートのコピー、ありがとう。
ちゃんとノートに貼ったよ」

「いいってことよ」

「ところで遼太はまだ来てないの?」 

「えっ、一緒じゃなかったのか?」

「うん、朝電話がかかってきて“先に行ってくんない”かって、それだけできれたんだ」

「そっか・・・何も聞いてないけどな」


どうしたのかな?
自分の席に座ると、先生が入ってきた。


「知哉、もう大丈夫か?」

「はい」

「今度は遼太がインフルエンザでお休みです。
みんなも手洗いうがいはしっかりするように」


遼太がインフルエンザ?
絶対俺のがうつったんだよ。
だから駄目だって言ったのに。
俺のせいだ。
俺が無理矢理にでも追い返していれば、うつることなかったのに。


「遼太がインフルエンザだって・・・珍しいな」

「何とかは風邪引かないって言うけど、インフルエンザの菌には勝てなかったんだな」


何てみんなが言うくらいだから、本当にあいつは丈夫なんだな。


「知哉がうつしたんじゃねぇ?」


そんな声も聞こえてきた。
確かに結果、俺がうつしたことになるよな。


「追い返してさえいればよかった・・・」


今さら後悔しても仕方がない。
あいつのために授業の内容をノートにちゃんと書きとめておこう。
3日位すれば熱も落ち着くだろうから、これを持ってお見舞いに行こう。


「1回なったから、またなることはないだろうしね」


授業の内容を一語一句、もらさず書き留めた。
この日の夜、空手から帰ってくると電話がかかってきた。
遼太からだった。

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