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好きだって気づいたとき

第13章 修学旅行

今日から2泊3日の修学旅行。
これが本当に中学校生活最後の大イベント。


「知哉、行くぞ」


いつものように遼太が俺を呼びに来る。
荷物は先に学校から宿泊先に送ってあるから、行きのお弁当が入ったバッグだけ。


「くじ引きで1番後ろの席取れて、よかったな」

「俺達5人、横並びで座れてラッキーだったな」


バスの席を決めるくじ引きで、俺達5人は1番後ろの席が取れた。
あんなけ修学旅行あとのテストの事が気になって、修学旅行どころじゃないと言ってた遼太。
1番はしゃいでるではありませんか。
バスの1番後ろの席って、クラスで1番元気なやつ、目立つやつが座る席ってまことしやかに言われている事をご存知だろうか。
くじ引きで取れたというものの、俺達はクラスの中ではガキっぽさが抜けない1番元気なやつらである事は間違いない。
ダントツは言うまでもない、遼太だ。
そんな遼太の近くにいつも一緒いられることを嬉しく思ってる。
それはどうしてかまだ全く分からないけど、優越感すら持っている。
たぶん誰も羨ましがっているやつなんていないと思うけど・・・


「おいっ、1番後ろの5人組、いくら何でもちょっとうるさいぞ!」

「あっ、すいませ〜ん」

「特に遼太、はしゃぎすきだぞ」

「は〜い」


バスの中は笑いに包まれる。
そんな俺と遼太はいつも体を密着させている。
見えないところでは手を握りあっている。
まるで恋人同士のように・・・?
恋人同士のようにってなに?


「どうしたの?」

「いや、何でもない」

「変なやつ」


急に離した手を、また握る遼太。
小学生の頃からやっている事なのに、ドキドキするのはなぜ?



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