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好きだって気づいたとき

第16章 高校入学

高校生活が始まって数日。
残念なことに、俺は遼太と同じクラスにはならなかった。
なぜか同じ学校から入ったメンバー、みんなバラバラ。
遼太はあいかわらず、すぐに友達ができた。
俺も遼太程ではないけど、同じ名前のヤツが隣の席になってよく話したりしている。


「どの部活に入るか決めたと思うから、この用紙に書いて提出してください」


俺は迷わず”和太鼓部“と書いて提出した。
来週から体験が始まる。
体育館で見た新入生歓迎会の時の演奏、やっぱりカッコイイと思った。
なんの変哲もない赤いTシャツと黒の袴なんだけど、それを着て演奏している姿に惹かれた。
来年、俺もここで叩きたいと思った。


「お〜い友哉!」

「おぅ」

「はいっ」

「・・・?」

「あっ遼太、こいつも智也って言うんだ」

「そうなんだ。
ごめんごめん、びっくりさせて。
これから気をつけないといけないな」

「大丈夫だよ。
甲斐田の友達?」

「うん、小学校からのね」

「へぇー、すごい仲良いんだね」

「仲良いなんてもんじゃないよ。
友哉と俺、いつも一緒。
この学校に入れたのもこいつ、友哉のおかげなんだ」

「何か羨ましいね」

「遼太、帰るぞ。
じゃあ、また明日ね」

「じゃあね」

「じゃあな、もう1人の智也」


それから遼太は俺だけじゃなく、もう1人の智也とも仲良くなった。


「全然違う部活だから、こうやって一緒に登下校できなくなるね」

「友哉、寂しい?」

「さっ、寂しいとかじゃなくて、いつも一緒だったからなぁって思って・・・」

「寂しいって言ってくれないのかよ。
俺はすっごく寂しいよ。
でも会えなくなるわけじゃないし、それで俺たちの仲が悪くなるわけじゃないしな」

「うん・・・」


ドキドキするようなこと言うなよ。

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