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好きだって気づいたとき

第1章 色濃い2ヶ月

卒業式まであと1週間。
全然思い出がない学校なのに、何だか凄く寂しく思える。


「なぁ知哉、卒業式の日って空手あるの?」

「うぅん、ないよ。何?」

「終わったらさ、雅人と健人達誘ってお昼一緒に食べないかなぁって」

「俺はいいよ。どこで食べるの?」

「子供だけで行けるところだったらどこでも。
それでもう1つ提案があるんだけど」

「提案って何?」

「春休みに一緒に遊園地に行かないか?」

「健人と雅人は?誘うよね?」

「もちろんもちろん」

「じゃあみんな揃ったときに話そうよ」

「うん、そうだけど・・・まずお前に話しといた方がいいと思って」

「何で俺?」

「いやっ・・・え~と、早めに言っておけば予定入れてくれると思って・・・」

「それは俺だけじゃないし・・・
2人以外にも誘う?」

「まぁ、何人か声はかけてみようとは思ってる」

「そっか・・・
わかった。俺は予定しておくから」

「今日、空き地で打合せしようよ」

「俺今日空手だから、終わったら空き地行くよ」

「おぉ、あいつらと木の上で待ってるよ」


冷静に考えると、“木の上で待ってるよ”っておかしな話しだよな。
俺達にとって木の上は秘密基地みたいなものだから仕方がない。

学校が終わり空手の稽古。
それも終わり空き地まではもうダッシュ。


「お待たせ!」


いつものように荷物を全部放り投げ、馴れた手つき足つきで木をスルスルと登っていく。
日にちを決め、総勢10人で行くことになった。


「友達同士でちょっと遠出するのは初めてだから何かさ、今からワクワクするよね」


って思っていたら、遼太がこれを話した。


「何だこいつ、気持ちわるっ。
俺の心の中よめるのか?こいつはエスパーか」


と思った瞬間だった。


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