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好きだって気づいたとき

第20章 これもひとつの思い出

Tシャツにパンイチ、タオルで頭を拭きながら俺の部屋へ向かう遼太。


「友哉、お茶持ってきて」

「うん、わかった」


キッチンへ行き冷蔵庫からお茶出し、部屋へ行こうとした時、何か凄く気になって戸締りの確認をした。


「よしっ、大丈夫だな。
遼太に目の前であんな姿見せられたんだから、流石に帰ったと思うけど・・・あぁ、気持ち悪っ。
思い出しちゃったよ。早く遼太のとこ行こっ」


部屋へ入ると遼太が窓際に立って外を見ている。


「お待たせ遼太・・・ねぇ遼太、何してるの?」

「んっ?・・・う〜ん・・・
この時間になると、夏休みと言っても人通りはないなぁって思ってさ」

「暑いしね、エアコン効いたとこにいたいしね」

「普通そうだよな。
暑いし虫に刺されるかもしれないのに、相当お前に執着してるんだな」

「何言ってるの?」


持ってきたお茶をテーブルに置き、遼太に近づいた。


「それかお前がめっちゃ思わせぶりな態度をしたとか・・・」


遼太の見つめる先には帰ったと思った先輩の姿があった。


「うわっ!!」


俺は驚きと気持ち悪さで窓から離れ、ベッドに座り込んだ。


「友哉、あいつにここまでさせる何か態度したとか?」

「してないしてない。
そんな事した事ないし、する訳ないよ・・・あっ!」

「あっ・・・て、やっぱ何か思い当たる事でもあるのか?」

「1年の時、太鼓の叩き方を覚えようと思って先輩の叩き方見てたんだけど、自分に気があると勘違いされたことはあったけど、それはそれでちゃんと否定したはずなんだけどな・・・」


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