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好きだって気づいたとき

第20章 これもひとつの思い出

それから何時までかわからない、何度もお互いの体を確かめ合った。
声がかれるほど声を上げ、意識が朦朧となるほど何度も絶頂をむかえた。


「もう・・・無理・・・
あっ・あっ・ダメっ・・・イクっ・イクっ・・・あぁぁぁ」


何度目かの絶頂迎えた後、倒れ込むように俺達は眠った。

数時間後、カーテンの隙間から入り込むお日様の光で目を覚ました。
疲れ切っている俺達は、足を引きずるようにしてお風呂まで行った。
頭からシャワーを浴び、昨日のように遼太は俺の体を優しく洗ってくれるけど、昨日のように感じることはなかった。
あと少しで遼太と離れ離れになるのかと思うと、悲しみをこらえる事が出来ず、俺は涙を流した。
涙はシャワーで流され遼太に気付かれることはないだろう。


「えっ!?」


俺は背中にシャワーとは違うものが背中に当たるのを感じた。
それは涙、遼太の涙だった。
遼太も俺に涙を流している事が気づかれていないと思っているようだ。

シャワーを浴び終え体を拭き、服に着替えた。
キッチンに向かいトーストとコーヒーを飲んだ。
この数日、いつものように騒いで思い出巡りをしてそして、お互いの気持ちを打ち明け、激しく体を重ね合った俺達だけど、ただただ黙っていた。
そして気が付くと引っ越し屋さんが来るまで、あと1時間になった。
凄くベタだけど、このまま時間が止まればいいと思った。
多分遼太も同じ事を考えていると思う。
食べ終わったお皿を洗っていると、目が覚めてから初めて遼太が声をかけてきた。


「なぁ友哉」

「何?」

「高校卒業したら大学行く?」

「えっ!?」

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