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好きだって気づいたとき

第20章 これもひとつの思い出

どんどん家の中の物が運び出されていく。
1つ運び出されて行く度に、寂しさがこみ上げてくる。
小学6年のときに親父の仕事の都合でここに引っ越して来る時も、そこの友達と別れる寂しさはあった。
今回はその寂しさとは違う寂しさ、好きな人と別れる寂しさがプラスされている。
俺と遼太は運び出されて行く荷物をただ黙って見送っていた。
あっという間に部屋の中は空っぽになった。


「忘れ物ないか、家の中を確認お願いします」

「わかりました。
すみませんが、車で待っていて貰えますか」


引っ越し屋さんには車で待ってもらうことにした。


「遼太、一緒に確認して」

「うん、いいよ」


業者の人が家を出たのを確認すると、俺から遼太の手を握った。
1部屋1部屋を忘れ物が無いかを確認して回った。
最後に俺の部屋を確認しに入ると、俺は気持ちを抑えきれなくなり、遼太に抱きついた。


「遼太・・・遼太・・・離れたくない」


遼太はギュッと俺を抱きしめた。


「俺だってお前と離れたくないよ」


俺から唇を重ねていった。
激しく絡めあった。
そんな俺の頬に手を置き唇を離す遼太。


「友哉、下でまってるよ。
冬休みとか部活ない時に会おう。
俺、勉強もちゃんと頑張るからさ」

「うん・・・」

「友哉・・・」

「何?」

「友哉、大好きだよ」

「俺も、遼太の事大好きだよ」


もう一度キスして、下におりた。

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