テキストサイズ

好きだって気づいたとき

第20章 これもひとつの思い出

慌ただしく夏休みが終わり、2学期になった。
初めて教室に案内された俺は、なぜだかそんなにも緊張していなかった。
小学生の頃のようにみんなの前で紹介され、あの時と同じ俺の席は1番後ろの席。
席に座りあの時と同じように斜め前の席に目を向けた。


「あの時遼太、振り返ってピースしてきたな」


なんて思っているとその席のやつが振り返った。
俺はびっくりして目を丸くしていると、あの時の遼太のように、そいつが俺に向かってピースしてきた。
あの時とは違って俺はピースし返した。
そいつはニコッと笑って前を向いた。
そいつはすごく明るくて面白くて、休憩時間に直ぐに俺に声をかけに来てくれた。


「よろしく。
遠慮しないでなんでも聞いてくれていいから」

「ありがとう。
俺、甲斐田友哉。君は?」

「俺は元木涼太。
みんな下の名前で呼んでくれてるよ」


俺は驚いた。
また涼太という名前のやつと初めに話をした。
言うまでもなく俺はこの涼太仲良くなった。
その事を遼太にLINEすると、遼太も驚いていた。


『え〜、そんな偶然あるんだな。
でも友哉、そっちの涼太と仲良くなって俺の事忘れないでよ』

『ば〜か、何心配してるんだよ。
お前の事忘れるなんてないよ』

『そっちの涼太と浮気すんなよ』

『うっ、浮気って・・・
恥ずかしいこと書いてんじゃないよ』


でも正直嬉しかった。
俺も遼太に言いたかったよ。
もし俺に似たやつと知り合っても浮気するなよって。
やっぱそんな事恥ずかしくて言えないよね。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ