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好きだって気づいたとき

第20章 これもひとつの思い出

月日が流れ、大学受験当日。
遼太と大学名をあかすかとなくこの日を迎えた。
時間と待ち合わせ場所だけ決めてあった。
俺は受験の緊張なのか、本当に遼太と同じ大学を受けるのかが心配でなのか、約束の時間の30分もら早く着いた。


「遼太、来るかな・・・」


時間はどんどん過ぎていく。
待っている間、本を読んだりしてみるものの、遼太の事が気になって全然頭に入ってこない。


「名前も明かさないで同じ大学を受けようなんて、無理な事だったんだよな」


時間になり、そんな事を思いながら俺は受付をするために約束の場所を離れた。
待ち合わせ場所からどれくらいかな?
歩いていくと、そこには大きな木が立っていた。


「あのころの俺達なら登って遊んだだろうな」


立ち止まってその木を見上げていると、上の方が風もないのにガサガサと揺れた。
俺はびっくりして数歩後ずさりした。


「遅いぞ友哉」

「・・・えっ!?」


聞いた事ある声、話し方。
驚いていると、上から人が飛び降りてきた。


「わぁ〜!!」


近くをいた人も驚いていた。
遼太だった。


「遼・・・太?」

「そうだよ、何言ってるの?
いとしい人の顔を忘れたってか?」

「ばっ、ばかっ!
こんなとこでそんな事言うなよ」

「あいかわらずお前は可愛いな。
さぁ、時間だから行こう」


正直俺は、思い切り遼太に抱きつきたいくらい嬉しかった。
でも今は受験に集中しよう。





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