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好きだって気づいたとき

第1章 色濃い2ヶ月

少しずつだけど、緊張感がほぐれてきた。
でも学校終わりに“遊ぼう”って誘われることはまだまだない。
俺は小さい頃から空手を習っていて、こっちへ来てからも続けている。
親の薦めであって、何かを目指しているわけではない。
ある日、いつものように空手の帰り道を歩いていると、空き地から声が聞こえてきた。


「お~い、知哉」


俺はどこから聞こえてくるのかわからず、辺りをキョロキョロしていた。 


「知哉、ここだよここ。わかる?」


聞こえたほうの空き地をじっとみると、そこにある大きな木の上から聞こえてきた。
近づいてみるとそこには張本が木の上にいた。


「知哉も登ってこいよ」

「えっ!?登れって・・・この木を?」

「この木にきまってるだろ?
もしかして木登りしたことないのか?」

「うん・・・ない」

「なんだ、ないのか。
ほら手を貸してやるから登ってこいよ」


それなりに運動神経はいいはほうだと思っている俺は、そのことばに軽くカチンッときた。


「いいよ、自分で登れるよ」


荷物を放り投げ、どんどん俺は登っていった。
張本がいるところはけっこう上の方。


「よっしゃ、あと少し・・・あっ」

「知哉、掴まれ」


あと一歩のところで、手をさしのべてくれた。
俺はその手に掴まり、上まで登りきった。


「登れた!」

「知哉、イェーイ!」


思わずこいつとハイタッチをした。


「お前本当に木登り初めてなのか?」

「うん、初めて」

「そのわりには、スムーズに登ってきたな」

「正直ちょっと必死だった」

「こいつらなんて、初めは全然登れなかったんだぜ」

「こいつら・・・えっ?」


よく見るともう少し上に2人いた。






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