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好きだって気づいたとき

第5章 文化祭

「大丈夫?」

「うん、大丈夫。ありがとう」

「何か・・・ごめん」

「全然いいよ。
無駄だったけど俺、君みたいにあいつに言えないから、ちょっと気持ちよかったよ」

「俺、手伝うよ」

「俺達でできるから大丈夫」

「じゃあ、大変なとき言って。
できる時は手伝うからさ」

「ありがとう。その時は頼むよ」


何か俺、余計な事したみたい。
さらにアイツらにあたりが強くならなければいいんだけど。
納得いかないけど、放っておくしかないのかな?


「智哉・・・おいっ、智哉」


声をかけられてもそれに気が付かず、俺はスタスタと歩いていった。


「おいっ、智哉待てよ」

「えっ・・・あっ、遼太・・・何?」

「何じゃないよ。
さっきからずっと呼んでたのに」

「あぁ、ごめんごめん」

「終わった?一緒に帰ろ!」

「うん・・・」

「・・・智哉、ちょっとだけ時間ある?」


しばらく黙って歩いていると遼太が話しかけてきた。


「時間か・・・
あるとも言えないし、ないとも言えない」

「何だよそれ・・・
まぁいいや。ちょっと付き合ってよ」


そぅ言うと、遼太は走り出した。
何もわからず、俺は遼太に付いて走り出した。
とくに変わった所じゃなく、いつもの見慣れた景色。
と言うよりいつも通る道。


「何だよ・・・
付き合えってくれって言うからどこかと思ったじゃねぇかよ」


と言うのも無理はない。
だって来たのはいつもの大きな木。


「へへっ!」


笑いながら遼太はカバンを置くと、いつものようにスルスルと木を登って行った。


「智哉も来いよ」


俺もカバンを置き、遼太を追いかけるように登って行った。

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