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好きだって気づいたとき

第6章 体育祭

「それまでは凄くジャンプしていたのに、急にジャンプしてるフリしたんだ。
その時あいつ、ニヤってした」

「何で?・・・急に?」

「いやいや何それ?意味わからない。
ちょっと言いに行った方がよくないか?」

「でもみんなが見てたんじゃないし、証拠がないよ」

「証拠ってか、俺が見てるし」

「たまたま引っかかったかもしれないし」

「たまたまでニヤってしないでしょ?」

「もういいよ、ありがとう。
リレーに出られないのはちょっと悔しいけどね」

「でも・・・」

「言いに行ったりなんかした事、あいつの耳にでも入ったら、また何やってくるかわかんないよ」

「甲斐田君・・・いいの?
悔しくないの?」

「悔しいか悔しくないかで言ったら、そりゃあ悔しいよ。
でも終わった事だし、いつまでも言ってたって仕方ないだろ?」

「そりゃあそうだけど・・・」

「よしっ、この事はこれでおしまい。
昼からも頑張ろうぜ!」

「・・・うん」


こいつが言ってることが本当だったら、いや多分本当だと思う。
あいつは何が目的なんだろう。
俺も跳ぶので必死だったから、隣にいても何も気にしてなかった。
でも縄に引っかかったくらいで着地失敗するなんて情けねぇよ。


「あ〜あ、リレー出たかったなぁ・・・」


そう心の中で叫んでいた。
遼太に1度も勝てたことないから、このリレーでなんとか遼太に勝ちたかったんだよね。


「どうせ勝てなかっただろうけどね」


給食が終わり、再び運動場へ。
何も出来ない俺は、席に座ってみんなを応援することしかできなかった。



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