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好きだって気づいたとき

第6章 体育祭

「行けー!」


俺もみんなのように叫んだ。
でも俺はみんなと違う。
自分のクラスに勝ってもらいたいという気持ちと裏腹に、遼太を応援していた。


ー遼太、行け!頑張れ!ー


口には出せないけど、心の中でめいっぱい応援した。
うちのクラスのアンカーと、どんどん差を広げられていく。
そしてそのまま遼太はゴール。
うちのクラスは2位。
嬉しいような悲しいような・・・
俺がケガをしてなくて、リレーに出ていたら、遼太に勝てたかな?
もし負けたとしても、僅差だっただろうな。
それにしても俺がケガをしてせいで、急遽アンカーをやらせれてた友達。
感謝と申し訳なさでいっぱい。

競技が全て終わり閉会式。
そして後片付けをした後、リレーのメンバーが集められた。


「おい甲斐田、行くぞ」

「えっ、俺出てないから・・・」

「補欠もみ集まるように言われてるぞ」


他のクラスも出ていない補欠も集まった。


「ごめんね。
ケガしたばっかりに、急に出てもらっちゃって・・・」

「大丈夫、それが補欠の役目。
でもお前だったら勝ててたかもな」

「そんなことないよ。
あいつは猿だから、俺が出てても負けてたかもな」


全員で写真を撮る時、俺を見つけた遼太。
驚いた顔なのか、怒った顔なのか・・・
その場は何も話さず、それぞれ教室に戻った。
その日俺は学校にある松葉杖を借りて帰ることになった。


「甲斐田君、俺一緒に帰るよ」

「ありがとう、大丈夫だよ」

「いいの?
じゃあ下駄箱まで一緒に行こう!」


松田は俺の荷物を持って、一緒に下駄箱まで降りていった。


「松田、ありがとう」

「本当に一緒に行かなくて大丈夫?」

「これくらい大丈夫だって」

「うん・・・じゃあ気をつけてね」

「ありがとう。明日な」






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