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好きだって気づいたとき

第6章 体育祭

松葉杖使うのなんて初めてだから、カバンを持ちながらは正直キツイ。
松田のヤツ、俺がケガした事すごく気にしてるから逆に気の毒になってしまったよ。


「カバン邪魔っ!」


下駄箱から門までの数メートルが数十メートルに思えてきた。


「俺、帰れるかな?」


ようやく門を出ると、誰かが後ろから近付いてきた。
その足音が気になって振り返ると遼太だった。


「遼太・・・」

「ほら、貸せよ」

「うっ、うん・・・」


歩きにくそうにしている俺の手からカバンを奪った。


「どうしたの?」

「どうしたって・・・何が?」

「何がって、その足の怪我の事に決まってんだろ」

「あぁ、そっか・・・
あのぉ、大縄跳びのとき・・・て言うか、
お前、怒ってるの?
それとも怪我を心配してくれてるの?」

「俺にもわかんねぇ。
心配なのかムカついてるのか、何て言うのかこう・・・わかんねぇよ」

「何だよそれ・・・」

「俺の事はいいから、何で怪我しちゃったんだよ」

「だから、大縄跳びのときに誰かが引っかかったときに・・・」


えっ、えっ、何?
俺何で誰かって言ったんだ?
誰かじゃなくて、木村って何で言わないんだ?


「・・・で、着地に失敗して足を捻挫したってわけ」

「お前みたいに運動神経良いやつが、そんな事で足を捻挫するなんて、何か信じられないんだけど。
何かあったんじゃないのか?」

「えっ!?」


あいかわらずこいつは鋭いな。


「何にもないよ」

「・・・まぁお前がそう言うなら。
そう言えば病院は?行かなくていいの?」

「帰ったら一応行っておくよ」

「じゃあ俺、ついて行くよ」

「本当?ありがとう」

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