テキストサイズ

好きだって気づいたとき

第1章 色濃い2ヶ月

「知哉、遅かったじゃないの。どうしたの?」


母さんに玄関先で叱られた訳じゃないけど、心配してた感で言われた。


「空手の帰りに・・・」

「おばさんごめんなさい。
遊んでいたら、空手帰りの知哉を見かけたから、そのまま遊ぼって俺が誘いました。
心配かけてごめんなさい」


こいつ、これを言うためになかなか帰らなかったのか?

「僕、知哉の友達の張本遼太です。
明日も一緒に遊ぶって約束したんでよろしくお願いします。それじゃぁ・・・」


それだけ言って、遼太は走って帰っていった。


「友達・・・か」


お風呂に入りながらちょっとにやけていた。


「いててて・・・
木登りしたときにこすった足がしみるよ」


でもこんな擦り傷も、今まで経験がなかったからちょっと嬉しくも思える。


「明日もあいつ、遼太と遊べるんだ。
何か楽しくなってきた」


自分でもわかるくらい、ニヤニヤしながら頭を洗い、体を洗い風呂から出た。
部屋に戻り明日の準備をしていたら、宿題があったことに気が付いた。


「しまった!宿題あったんだ」


慌てて机に向かい宿題を始めた。
遊び疲れたのか、睡魔に襲われくらんくらんしてきた。


「だめだめっ、早く済ませて寝よっ」


ほっぺを両手でパンパンッ!と叩き、頑張って終わらせた。
机の上はそのままにして、ベッドに倒れ込み死んだかのように朝までぐっすり眠った。

次の日、昨日の約束通り遼太が家に呼びに来てくれた。


「知哉、行っくぞ!」


何かのアニメみたいに、大きな声で呼ばなくてもインターホンを鳴らせばいいのに・・・
って思ったけど、それはそれでちょっと嬉しかった。


「いってきま~す」


俺は靴を履きながら玄関を飛び出した。


「おっはよ~知哉」

「おはよう、遼太」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ