テキストサイズ

好きだって気づいたとき

第1章 色濃い2ヶ月

遼太を通してだけど、学校で話したり、遊んだりする友達が増えた言った。
学校が終わるとまた、空き地に向かった。
空手がない日だから、昨日よりは長く遊べる。
木を登ったり下りたり、気付いたらスムーズに登り降りが出来るようになっていた。


「知哉、どっちが早く登れるか競争しようぜ」

「あぁ、うん・・・」


こんな猿みたいな遼太に勝てるわけねぇだろ。
でも俺も負けたくないし、頑張ってみるか。


「2人準備はいいか?」

「よーい・・・スタート!」


必死に登る俺とは違って、スイスイ登っていく遼太。
ここを住みかにしてる猿かと思うくらい。


「ゴール!遼太の勝ち!」

「イェーイ!」

「知哉おしかった、タッチの差だったよ」

「本当?いや悔しいな。次は頑張るよ」

「ヤバイ、木登り王の座が奪われてしまう」


負けても清々しい気持ち。
たぶんこいつには絶対勝てないだろうなってこの時思った。


「なぁ、俺今日カメラ持ってきたんだけど、撮ろうよ」

「いいね、撮ろう撮ろう」

「待って、カバンから持ってくるよ」


また木を降りていった。
俺は思った。
何でさっき登ってくるときに持ってこなかったのかって・・・まっいっか。
カバンからカメラを取り出し、肩にかけてまたひょいひょいっと登ってきた。


「ハイ、チーズ!」


こんな木の上で写真を撮るなんて、生まれてはじめてだよ。


「卒業までいっぱい写真撮っていこうよ」

「いいね、たくさん撮ろう」

「知哉、前のところにいたよりたくさん思い出作ろ」

「へっ?・・・うん!」


どこって言っていいのかわからないけど、たぶん胸の奥の方だと思う、何かこう・・・キュンってなった。
もしいま周りに誰もいなかったら俺、泣いてると思う。
嘘でもそれくらい嬉しかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ