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好きだって気づいたとき

第1章 色濃い2ヶ月

「しかしよくもまぁ、こんなにも写真撮ったもんだよ。
だけど同じようなものばっかりだな。
やっぱまだ子供だったから、そこまで知恵回らないからしゃあないわな」


木の下、木の上、ときどき公園。
とにかく野性味溢れる写真ばかり。
室内で撮ったものなんて全然ない。
ゲームとかも好きだしやっててけど、こいつらと会わないときぐらいしか家でやらなかった。


「何かゲームより外で遊ぶ方がずっと楽しかったんだよな。
・・・あれ?何だこの写真。
何で俺、パジャマ姿なんだ?」


パジャマ姿でベッドに寝転がっている写真、ベッドに座っている写真があった。


「この写真、誰が撮ったんだ?
ってかこのアルバムは、あいつのカメラで撮った写真ばかりだから・・・あっ、そう言えば!」


思い出したよ。
この写真、みんなで写真を撮り始めてしばらくして、俺がインフルエンザで学校を休んだとき、家まで見舞いに来てくれたときの写真。


「うつるといけないからとうちのお袋に言われたのに、大丈夫とか言って部屋に入ってきたんだったよな。
そうそうこれ、その時撮った写真だ」


あのとき、雅人と健人も来てくれたけど会わず、部屋から少し顔を出してお礼を言った。
遼太はちょっと強引ぎみに部屋に入ってきた。
熱が下がったなら大丈夫なんて言ってたらしいけど、結局数日後、自分がインフルエンザにかかって学校を休むことになった。


「うちのお袋の言うことを聞いていれば、うつることもなかったのにな。
本当にバカだよ・・・バカなやつだよ、遼太は」


何だろう・・・寂しさが倍増してきたよ。

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