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好きだって気づいたとき

第9章 遼太の秘密

友梨耶と別れてから、1人か誰か友達と下校している。
友梨耶はと言うと、すでに新しい彼氏がいて、登下校一緒にしてる。


「結局誰でもいいってことか?」


何か別れてよかったって思った。
俺も遼太も部活がない時は、必ず言っていいくらい一緒に帰る。
まさに今日がその日。
でも今日は、そそくさと帰ろうとした。
いつもなら待っていたりするんだけど、今日は遼太が職員室に呼ばれているうちに、なぜか逃げるようにして教室を出た。

ー1人病院送りにしてる・・・ー

何があったんだろう。
気になる・・・凄く気になる。
気になるなら聞けばいい。
でももう数年前の事。
部外者の俺が聞く訳にはいかない。
今さらむし返す必要も無い。
でもあの遼太が、その時遼太に何があったんだろう。


「お〜い・・・」

「・・・」

「お〜い友哉」

「・・・」

「おいっ、友哉待てよっ!」

「えっ・・・あっ・・・りょ、遼太」

「遼太じゃねぇよ。
どうして待っててくれなかったんだよ」

「それは・・・」

「今も何回も呼んだのに無視するし」

「無視してない。
ちょっと考え事してて気が付かなかった」

「考え事って何かあったのか?
今日も何か急に様子がおかしくなったから心配してたんだよ」


さすが遼太、気づかれてた。


「今日空手休みだよな?」

「うん、休みだよ」

「じゃあ少し時間あるよな・・・」


そう言って帰り道途中にある駄菓子屋に立ち寄った。


「久々に行かないか?」

「・・・うん」


駄菓子屋で買ったものを持って行ったのは俺達の聖地、大きな木。
いつものようにカバンを放り投げ、木を登っていった。


「やっぱりここは最高だな」

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