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好きだって気づいたとき

第9章 遼太の秘密

「お前の事だから、何か理由があったんだよな」


少し間を置いてから遼太は話し始めた。


「俺、幼稚園の時から凄く仲の良かったやつがいたんだ。
いわゆる幼馴染みってやつ。
頭が良くて、運動神経もよくて、大人しくて可愛くて・・・
何かさ、お前に似てるんだよな」


可愛い?俺に似て?
いたんだって、何で過去形?


「いないんだってって、今その人どうしてるの?」

「引っ越した」

「引っ越しちゃったの?
お前が誰かをケガさせたことと、そいつの引っ越したことって何か関係あるのか?」

「誠って言うんだ。
誠は、俺の話は色々聞いてくれるのに、自分の事は何も話してくれなかった。
俺に心配かけたくなかったからって」


俺は黙って遼太の話を聞いていた。


「あいつはいつもニコニコしていて、悩みとか全然話してくれなかった。
俺もいつも一緒にいたのに、誠が辛い思いしているのに気付いてやれなくて・・・」


遼太の肩が震えだした。


「誠、サッカー選手になるのが夢で、毎日凄く頑張って練習していたんだ。
クラブの代表にも選ばれていたのに、それなのに・・・」

「どう・・・したの?」

「木村の仲間が誠の事をいじめていて、でもあいつ俺に何も話してくれなくて、それを知った時、俺の目の前で誠は階段から突き落とされて足を骨折したんだ」


いじめがあったんだ。


「そこからは俺記憶がなくて、見ていたやつの話だと俺は何かに取り憑かれたかのようにそいつをボッコボコにしたらしい。
そして俺は先生に取り押さえられたらしい」


そんな事があったんだ・・・


「誠君の骨折はひどかったの?」

「ひどいなんてものじゃないよ。
もう2度とサッカーができないからだになっちゃったんだよ」

「えっ・・・」






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