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好きだって気づいたとき

第9章 遼太の秘密

「それは酷いな・・・」

「それからすぐに、誠のお母さんの実家の方に引っ越したんだ。
何か俺、心にぽっかり穴が空いちゃって、それから嫌な思いをしているやつを向け見つけたら助けるようにしてるんだ」

「優しいお前はその時をきっかけにできたんだな」

「優しくなんてないよ。
でもさ、お前が転校してきた時、本当に誠が帰ってきたのかと思ったよ」

「そんなにも俺に似てるのか?」

「うん、似てるよ」

「どういう所が似てるの?」

「頭がいい所、優しい所、運動神経がいい所。
この木に最初に登ったの誠なんだ。
俺も誠の真似して木登りして楽しくて、いつからか自分達の居場所になってた」

「お前が思うほど俺、頭も良くないし優しくないし、運動神経もよくないよ」

「俺が似てるって言ってるんだから似てるんだよ」

「あっ・・・そう・・・」

「俺、誠の事が大好きだったんだ。
なのにあいつらは・・・」


泣き出す遼太。
泣いてる遼太を見るのは小学校卒業式以来。


「ごめん遼太。
嫌な事思い出させちゃったな」

「・・・俺の方こそごめん。
だから、だから友哉には誠のようになって欲しくないんだ」

「遼・・・太」

「もう大好きな人と離れるのなんか嫌なんだよ」

「遼太、俺は大丈夫だから。
何でも話すし、ほら、俺が話さなくてもちゃんと俺の思ってる事、通じてるじゃねぇか」

「友哉・・・」

「何だよ、野生児が何情けない声出してんだよ。
俺はどこにも行かない、遼太といつも一緒。
それに俺がそう簡単にあいつらにやられるわけないだろ?
本気出したら俺、マジ強いし」


久しぶりに木の上で暴れまくった2人。
何だか遼太の事が愛おしく思えた。






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