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好きだって気づいたとき

第11章 2泊3日の海水浴

8月になり、俺達は約束通り海に遊びに行った。
2泊3日のちょっとした旅行。
家族とではなく、友達同士で朝早くから電車に乗って約2時間。
松田の親戚がやっている民宿に泊まらせてもらう。


「修学旅行と違って、何かワクワクするな」

「宿題、頑張って済ませてよかった」


みんなが盛り上がっている中、俺は心底盛り上がれなかった。


「知哉・・・」

「んっ、何遼太」

「何じゃないよ。まだ気にしてるのか?」

「いや、そんな事ないよ」

「俺にそんな嘘が通用すると思ってるのか?
海なんて来ていていいのかな・・・とか思ってるんだろ?」

「べっ、別にそんな・・・」

「俺がお前の考えてる事わからないとでも思ってるのか?」


こいつはマジやべぇ。
相変わらず俺の考えてる事読まれてるよ。


「吉田も逆にお前に感謝してるって言ってるし、せっかくみんなで行くんだから、楽しまなきゃこいつらにも悪いだろ?」

「・・・そうだね。
ありがとう遼太。いっぱい遊ぼっ!」


遼太がいなかったら俺、どうしてたかな?
たぶんまだ立ち直れなくて、家に引きこもっていただろうな。
また遼太に助けられちゃったな。
こいつは不思議なやつだよ。
大人しいやつにも、ちょっと元気なやつにも好かれる。
いつも遼太の周りには人がいる。
でも俺がいつも1番近くにいる。
俺の1番近くに遼太がいる。
何か俺、優越感にひたってないか?

・・・優越感?

窓の外の景色をみなが、 そんな事を考えていた。


「おい知哉、ポテチ食うか?」

「食べる食べるありがとう」


マジ遼太の友達になれて、本当に良かったよ。







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