仔犬のパレード
第2章 小屋
「しょおっ」
俺が廊下へ出ると同時にバタバタと駆け寄ってきたのは…
まぁ言わなくてもわかるだろうけど、雅紀だ
翔「火傷したの ぐほっ!!」
そのままの勢いで頭から俺の胸へ突っ込んできた
そんでもって凄い力で身体を締め付ける
雅紀「……」
翔「ぐふっ……骨が…」
ギシギシと肋骨が軋む
雅紀は馬鹿に力が強い
雅紀「……、」
俺がダメージをくらい続けているその間に小さく聞こえた、息を飲む音
そんなに痛けりゃ…!
翔「て…手!痛いなら使うな!離すんだよ!」
雅紀「…え?」
翔「痛い手を使ったら余計に痛いだろ!」
雅紀「…あぁ…そっか」
そうか…と、スルリと俺の身体から手を離した雅紀
見れば、その手の甲は既に赤くなっている
そしてニコニコ笑う目尻からは涙が落ちる
翔「…」
あー……
こりゃ痛そうだ
翔「お湯沸かすだけでなんでそうなんだよ。
ほら。早く冷やすぞ。」
呆れつつ、でも流石に心配しつつ
雅紀の火傷してない方の手を掴んで広間へと身体を引く
雅紀「鍋が…持とうとしら、滑ってひっくり返った…」
後ろから聞こえてくるそんな声
なんで鍋で沸かすんだよ
麺茹でるでもねーのに
ヤカンつーのがあんだろ。ヤカンっつーのが
てのは
今は黙っといた
翔「水で冷やそうな。そしたら少しはましになる。」
たぶん←
雅紀「ほんと?」
翔「……」
それには無視を決め込んで
俺は広間の扉を開けた