仔犬のパレード
第2章 小屋
広間に入ってすぐのキッチン
の床
翔「………」
お湯と言えど、惨劇
1番デカい鍋ね
翔「ほれ。手出せ」
雅紀「はぁい」
雅紀が差し出した手を、流水に当てる
手の甲に広がった赤みは、更に濃さを増している
翔「もしかしたら、水脹れになるかもな」
雅紀「みずぶくれ?」
翔「俺も良くわかんないけど火傷が酷いとなるらしい」
ん?軽いとだったか?
…忘れた
雅紀「ふぅん」
翔「お湯を沸かすときはヤカン使え。溢れにくいし、持ちやすい」
雅紀「はーい」
と俺を見る顔にはもう涙はない
これだけの火傷。痛みは結構あるだろうに
ニコニコとその口角は上がったまま
…どこか他人事
自分の事なのに
…いや
仕方がないんだ
これが雅紀
人を頼れるようになっただけかなりの進歩
そう思う
水の音が響くキッチンで肩を並べる俺達
翔「暫く冷やしとけな。あとは氷当てとこう。」
雅紀「はぁい」
変わらない表情
変わらない…
…あれ
なんか
翔「雅紀、背伸びた?」
雅紀「えぇ? わかんない」
俺と目線が同じ…いつの間に
…あぁそうか成長期
そうだよな
雅紀は、あと少し
潤は、あと1年くらい
あの子は…いくつなんだろう
ガリガリだけど、背はそこまで小さくない
潤と同じくらいか…それか…
「うるっっせーーんだよっ!!!」
バリーーンっ!!
!!
今度は広間の奥から
…
はぁ
次から次になんなんだよ…