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仔犬のパレード

第4章 歯



ーー**ーー



そんな感じで始まった智のいない4人の生活


和也の世話を真面目にする潤に


時々だが、俺の仕事を手伝ってくれる雅紀に


相変わらず、寝たまんまの和也


俺はと言うと、頭痛は変わらずにあり、寝不足は否めないけど、それ以上悪化することはなく


俺の心配を他所に、変わらない穏やかな日々が流れた



そして、3日が過ぎた頃


潤「…しょぉ…」


翔「ん?」

潤が話し掛けてきたのは、俺がキッチンで昼飯の野菜炒めを作っている時だ


そろそろストックしていた食材が切れる
潤は普通だが、雅紀はその細い身体に反して大食いだ


成長期なのだから仕方がない
けれど、金は全くと言って良い程余裕はない
だけれど、潤や雅紀に飯で…飯くらい満足に食わせてやりたい

そう思ってる



潤「……」


翔「?」



ここにいる奴等は、揃いも揃って身体の線が細い
そして潤は、雅紀とひとつしか変わらないのに歳の割には背も低く、子供。という表現がぴったりだった

本人には言えないけど


潤は、話しかけてきたは良いものの、俺からちょっと離れた所で、きょろ。きょろ。と視線をさ迷わせる
まるで、これって言っていいのかな?駄目なのかな?と頭の中でのやり取りが目に現れている様だ





こういう時は……
どうするべきなんだ?

…智だったら、待つ

けど、潤なら…


翔「…何か頼み事か?」

俺は、火を止めて潤に身体を向けた

潤「ぁ……ぅん、そう…」


翔「…」


潤「……」


翔「欲しい物?」


潤「………」


翔「何処か行きたい?」


潤「………」


翔「…食べたい物?」


その問に、潤は こくん。と頷いた


翔「そうか。何が食べたい?俺が作れるかわかんねーけど」


潤「……リー…」


翔「ん?」


潤「……ゼリー…食べたい」


潤は、ぽつりと言った








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