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仔犬のパレード

第4章 歯





大丈夫だ


なんのこっちゃない


ただのゼリー


そう。ただのゼリーだ


今日まで何事もなく過ごしてきた
あと、3.4日もすれば智も戻ってくる


そうだよな。戻ってくるんだ
いつまでも智がいないわけじゃない


ふ…馬鹿だな俺
何をそんなに怖がっていたんだ


智があいつの処に行くなんて、今までに何度もあったじゃないか



そう思うと、なんだか頭の中にあった重たい物がスッ。と消えていった



途中だった野菜炒め
それを完成させる為に再度火をつける


それは ボ…っ、と音を立て熱くなる




食材も買いに行かないとな


雅紀や潤に……智が帰ってきたら、少しでも美味しいもん
食べさせてやりたい


そうだ。明日、天気が良かったら布団を干そう
雅紀と潤と、和也と智と俺の分
うん。そうしよう


帰って来た時、ちょっとでも智がゆっくり休めるように…



そうと決まればと
俺は、できた野菜炒めを皿に乗せると同時に


翔「雅紀」


雅紀「なにー?」


定位置のソファーの前


翔「買い出し。手伝ってくれないか?」


雅紀「買い出し?…それって外?」


翔「あぁ。外だ」


雅紀「………」


雅紀は、何かを考えるように左上に視線を向けた


翔「…外行くのは嫌か?」


雅紀「……ううん。嫌ではない。行く」


翔「そうか。飯食べたら行けるか?」


雅紀「うん。潤も行くー?」


俺はそう言われ、そうか。と考える


……う〜ん
和也が居るから行かなそうだけど…


翔「聞いてみるよ
雅紀、飯にしよう」


そして、俺は潤に飯が出来たことを伝えるために
キッチンを出た








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