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仔犬のパレード

第4章 歯







翔「いただきます」


雅紀「いただきまーす」


潤「……きます…」



別に、俺は智じゃない


けど、智がいない時は
俺の「いただきます」で飯を食い始める


雅紀「おいしー♪」


あっ。という間にばくばくと飯をたいらげていく


その雅紀が潤の方を向けば


潤「……」


潤はこくん。と頷いた


翔「そうか」


たとえそれが本当でも…嘘でも


それがあるだけで、俺の気持ちは救われる



俺と…雅紀と潤


歳は近い



でも俺は、2人とは違うから


雅紀「あーお腹空いてたぁ」


潤「…それ変じゃない?」


雅紀「変?なにが?」


潤「…………ぅうん…」


雅紀「え??」


そんなやり取り


潤は、呆れたように溜め息を吐いたけど
その顔は、やっぱり笑ってて



俺にはそんな2人の関係が


ちょっと羨ましかったりするんだ




翔「潤」


潤「…」


俺の声に、その真っ黒な瞳が向けられる


翔「午後。買い出し行くんだけど、潤も行かないか?」


潤「……」


翔「雅紀も一緒だ」


潤「………」


翔「時間もそんなにかからない」


潤「…………」


翔「潤?」


潤「……翔…」


俺を名を呼んだ その声は


潤「行けない。」


真っ直ぐな瞳と同じく



微塵も揺るがなかった





……え


翔「…行けない…って?」


雅紀「ごちそうまさでしたー!翔おかわりしたい!」


っ!


俺の前に、ずい。と差し出された器


翔「……あ、あぁ…スープ…な…」


潤「…ごちそうまさでした」


翔「あ!潤…待っ…!」


雅紀「ご飯もいい?」


翔「え…あぁ…」


潤は、自分の食器を片付けて
直ぐに和也の部屋へと入っていってしまった








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