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仔犬のパレード

第4章 歯






翔「和…也……」


ドッ…クン…!


心臓が震える



ギリギリ


脳ミソが悲鳴をあげる



なん で…?
なんで…こんなとこ に


狭い視界の中で捉えた姿
それは床に丸まるように転がり
ピクリ。とも動かない


なに…なにが…
なんでここに……

なんで…なんで
………まさか…


翔「和也!和也っ!!」


雅紀「翔??」


翔「っ!」


最悪の事態が過った頭は
背後から聴こえた雅紀の声に ハッ!とする


翔「あ…中…」


とにかく中に…!


雅紀「ねぇ かずなりってなにー?」


不思議そうな声を出す雅紀
俺はそれを無視して扉を強く押した


…ググ…


グググ……


身体が入る位に開いた扉
そこから中へと身体を滑り込ませた


翔「和也っ!」


床の上に落ちたままの塊に触れる


翔「和也!おいっ!和也!!」


ガクガクと肩を揺するも
反応はない


なんで…!何があった
なんでここに…


ズキン…ズキ ン…!


状況が掴めない
わからない


わからない…!!


雅紀「潤」


翔「、」


気付けば隣に立っていた雅紀


雅紀「潤が居ない」


………ぁ……


一瞬息が止まる


翔「……潤…」


…居ない


見える範囲には 居ない


翔「潤っ!」


どうなってんだよ!


翔「潤!何処だ!」


雅紀「ねぇ」


翔「潤っ!」


雅紀「ねぇ居るよ」


翔「…ぇ?」


その低い声は雅紀の声


雅紀「あそこに居る」


翔「…どこ…に…?」


雅紀「知らないヒトが居る」




し…ん。とした廊下に
雅紀の声が響いた








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