
仔犬のパレード
第1章 捨
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「なぁ智。ほんとにいんのかな?」
俺は、ボロボロの建物内を自信無さ気に、そして心底うんざりとして見回した
「いたとしてさ、もう手遅れなんじゃねーの?8日?経つじゃん?」
智「…翔。お前ちっとうるせーな。」
俺を見もせず チッ。と舌を鳴らす
翔「……。」
智が舌打ちするときは、機嫌が悪い
馬鹿な俺でも流石に覚えた
…
……でもだってさぁ…
さっきっからボロボロとコンクリが剥がれた通路には、鼠と虫(しかもゴキとか気色悪い系)ばっか
しかも何?この匂い?ちょー臭ぇし
この状況についてけない俺の頭は、急激にイラっとし痛みを増す
だから、俺は溢れてしまったモノをぶつける様に、堂々と通路を駆け巡る鬱陶しい鼠目掛けてコンクリの破片を蹴り飛ばした
それは見事にその中の一匹に的中し
ジっ!と鳴き声を上げる
智「翔。無駄な暴力すんな。」
…
……は?どの口が言う?
散々その薄っぺらいサンダルでゴキ踏んでんじゃん
…んだよ。
さっきっから ずっと機嫌悪くてさ
ばーか。と大袈裟に ふんっ!と鼻を鳴らせば
智「はぁ……翔。
ガキみたく拗ねんじゃねーよ。」
と、怖いくらいに整った顔が俺を見る
やっと俺を見てくれたけど……真顔の迫力半端ねぇ…
…でも
翔「俺まだガキだし。それに脳ミソねーからわかんねぇ。」
俺、なんかしたの?
智「ふはっ!なんだそりゃ。ちゃんとミソ残ってんだろ。俺なんかより頭いーくせに。」
…あ
さっきの機嫌悪さは何処へ消え去ったのか、口調に似合わず ふにゃ。と笑う
…
……んだよそれ。
じゃぁ
翔「…………欲しい。」
そうねだれば
智「はぁ?今?やだよ。流石の俺も、こんな所じゃ勃つもんも勃たねーわー。」
ははは。と
……は?
別に、俺はSEXのお誘いなんてしてない
智「それに、今すぐ必要じゃねーだろ?」
翔「、……」
見透かされた
智「帰ったらな。」
俺よりチビのクセに、ふっ。と笑って俺の頭をポンして
そしてまた ペタペタとサンダルを引きずって歩き出す
俺はというと
すっかりさっきまでのことは忘れて、黙って智の後に付いてった
