
仔犬のパレード
第4章 歯
━ドンッ!!
潤の身体が波打つ様に跳ねる
けれど…
潤「…」
地に落ちた身体は寸分も動かなくなる
っ頼む…
頼むから…!
翔「戻ってこいっ!」
俺はもう一度拳を高く振り上げ
潤の小さな胸へ叩き付けた
━ビクンッ
さっき同様、跳ねた身体
…
潤「……」
……
………っ
…………、…
もう、手遅れなのか……
翔「潤…逝くな…逝くなよ……」
パタ……パタ…
パタパタと、潤の顔を濡らしていく雫
その頬に触れれば、まだ 温い
翔「……潤……ヒクっ…潤………、ごめ…ごめんな………っ…」
怖かったか…
苦しかったか…
………助けてやれなくて
翔「っうぅ…」
胸が…
心臓が…
心が……痛い
ボタボタと止めどなく溢れ出てくる涙
……
あぁ…そっか
智、俺…
俺にとっても潤は、宝物…
だったんだ
翔「っ…うぅぅ……!」
今さらだ……
床に寝そべる潤
俺はその身体を力一杯抱き締めた
翔「…潤…っヒク……」
━トクン
翔「…じゅ……ごめ…」
━トクン…トクン
翔「………、」
━トクン トクン トクン
翔「…?!」
感じた違和感と
まさか。という思いでガバッと身体を離せば
潤「…ウっ…!」
!
翔「潤!!」
潤「っゲホ!ゲホっ…ゲホ!」
ひゅぅと吸い込んだ空気を吐き出すように咳き込み出した潤
それに合わせ、その長い睫毛がぎゅ。と揺れた
翔「潤!生きて…いっ!?」
喜びもつかの間
俺の左目のすぐ下に
小さな何かが勢い良くぶつかってきた
