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架空ストーリー

第2章 『Le cantique des cantiques』

「ラウンド・ミッドナイト…
うーん
よし、リー・モーガンでいこう」



ジャズが流れ始めると速水さんは椅子に戻った。


まだ描き始めないようだ。



静かになったり、テレビや音楽が流れてて、そちらに意識を少しだけ向けられる状態になったりすると考え事をしてしまうのが私の癖で


私は

私を省いた世界をどう見るだろう?

私のいない世界ってどんな光景が広がっているのだろう?


とか考えている時には目が点になっているらしく

目ざとい友人なんかには黙ったままそれを脇から覗かれてたり


それがまた嫌で


だから、人がたくさんいる場所ではしないように気をつけている



「いいね、その表情」

そんな言葉がふいに私の耳に届けられた日には思考なんか即座に停止するのだ

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