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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

「ニノ…っ」

ギュッと唇を噛みしめると、リーダーがガバッと抱きついてきた。

「えっ?あ、リーダー?」

ビックリしつつもポンポンと背中を優しく叩いてみるけど、背中に回ったリーダーの腕の力はどんどん強く俺を抱きしめる。


なんだかそれが……

リーダーの不安の大きさを表しているような気がした。


「大丈夫、大丈夫だよ」

「うん……わかってる。翔くんもフォローするって言ってくれた」

「でしょ?ならちゃんと俺たちの決断を伝えよ?俺たちの口から…ね?」

腕の力が緩んだので身体を離し、リーダーの顔を見つめた。

「うん」

瞳はまだ不安で揺れているけど、しっかりと頷いてくれた。

「じゃあ、行きますよ?」

「うわっ、えっ?」

サッとリーダーの手をギュッと握ると、戸惑う声を無視して歩き出した。


なんでそんな行動をしたかはわからない。

でもそうしたいって思った。


リーダーも離すことなく俺の手をギュッと握ると、それ以上は何も言わなかった。


お互いきっと今は答えなんて必要ない。

したい事をして、それを受け止めただけ。


「だだいまー」

ガチャっと手を繋いだまま楽屋に入ったけど、誰もリーダと俺の状況にツッコむ人はいなかった。


きっとそれがいつものおふざけじゃなく、今必要な事だってみんなもわかってる。


「よし、そろそろ……行きますか?」

翔くんがよっこいしょと言わんばかりに腰を上げた。

「よしっ!」

相葉さんは胸をポンポンと叩いて気合を入れる。

「さて、いっちょやりますか!」

潤くんは頭を傾げてコキッコキッと首を鳴らした。


エレベーターに乗り込むと自然とライブ前のように円陣の形になった。


「これでいよいよキックオフになる。2020年12月31日までしっかりと肩組んで、今まで以上に肩組んで頑張って行きましょう」

気合い入れはいつも潤くんだけど今日は翔くん。


それに誰も異議はない。

だって……今日は翔くんにしかそれは出来ない。


そしていつものように目を合わせてメンバーと握手を交わすとエレベーターが開き、俺たちは会見場所であるの食堂へ向かった。

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