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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

『どこにも行かないで』

口に出しそうな言葉を唇を噛みしめて堪える。


自分のワガママで……

自分の気持ちを押しつけて、リーダー縛りつけたくない。


「ごめん…っ、ごめん……ね」

気持ちを涙が必死に流そうとするのに、溢れだした想いはもう止められらなかった。

「何で謝るの?」

止まることのない涙をリーダーはずっと優しく拭い続けてくれる。


その目の前の優しさに弱い俺はすがりついてしまう。



「好きに……好きになって……ごめん」



涙を拭ってくれていた手がピクっと震えて、動きを止めた。

俺は頬を包んでいたリーダーの手を掴むと、触れている俺の顔から離した。


ダメだって……

ダメだってわかっていても、その想いを抑えることはもう出来なかった。


でも俺の想いはリーダーにとっては重荷でしかない。


「ニノ?」

お願いだから……

お願いだからそんな優しく俺の名前を呼ばないで。


「ねぇ……顔、上げて?」

お願いだから……

お願いだから『気持ち悪い』って俺を拒否してよ。


俺は頑なに首を横に振って拒む。


でもさっき掴んだリーダーの手を離すことができない。


「俺さ……嬉しかった。ニノがずっとそばにいてくれたこと」

そんな風に

リーダへの想いを知った今、その行為は自分の為だったとわかった。

リーダーの存在を肌で感じたかった。


ちゃんとここにいるんだって……


「もちろん、翔ちゃんや相葉ちゃん、松潤もだけどね?でもニノがいると、なんか温かくなるの……ここがさ」

スッと俺が掴んでいた手が離れた。

「ニノ……見て?」

俺はゆっくりと顔を上げると、離れていった手はリーダーの左胸にあった。

「それが何でかってわかんなかった。でもさっきの言葉でわかったんだ」

俺はその答えを求めて、リーダーの顔を見つめた。



「俺も……好きだったんだ。ニノのことが」

俺を真っ直ぐ見つめる瞳にはなんの迷いもなかった。



※次ページから裏あります。
(注意事項に記載していなかったのでこちらに)

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