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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

「くっ、あぁ…っ」

必死に声を押し殺そうとしても止められず、苦痛に歪む顔を隠す事さえできない。

「ニノ、大丈夫か?」

手を止めて覆いかぶさると俺の顔を心配そうに見つめる。

「いい……から、早く…っ!お願…いっ」

剥き出しの肩をガッと掴んで懇願した。


互いの想いを知った俺たちは求めずにはいられなかった。

『好きだ』という言葉で繋がるのではなく、身体で繋がりたいって思った。


ちゃんと『形』で実感したかった。


でも俺は……

当たり前だか受入れる術を、身体を持ってない。


どうやったら繋がることが出来るかは知識の範囲内であっても、その方法は詳しくわからない。

何となく予想として、受け入れる場所を解すこと、その場所に潤いを与えること。

それが必要なんじゃないかって思った。


「わかった、あとちょっと……我慢な?」

「う…ん」

額に滲む冷や汗を優しく拭い、濡れた前髪を掻き分けてくれた。

一旦、俺の中から抜いた指に再び纏わせたのはベッドヘッドに入っていたハンドクリーム。


なんであったのか?

一体、誰のなのか?


色んな疑問はあれど、きっと答えは出てこないし、今もこれからも必要ない。


ただ……あって良かった。

それだけだ。


「いくよ?」

「うん」

フーッと息を吐き出すと同時にまたリーダーの指が周りを押し広げながら入ってくる。

さっきより増えた指は一層の異物感を与える。

そして一緒に動いていた指がバラバラの動きを始めると痛みが増した。

「くっ、あっ、んん…っ」

反射的に後退りしようとする身体をシーツをつかんで押さえつける。


逃げたくない。

この痛みも俺が望んだこと。


「大丈夫、もう少し……もう少しだから。こっちに意識……持っていける?」

「んあっ、やっ……ダメっ」

躊躇なくパクッと俺のモノを口にすると、舌をねっとりと絡ませて舐め上げた。


痛みと快感。

全てはリーダーから……


色んな意味の籠った涙がスーッと目尻からこめかみへと流れ落ちた。

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