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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

「先、シャワーしてくるね」

「俺、するよ?」

呼吸も整って落ち着いたので起き上がると、リーダーも起き上がってくる。

「もー、大丈夫だって言ってるじゃないですか」

グッと肩を押して再びベッドに寝かせた。


中に出した以上、ちゃんと処理はしないとお腹が痛くなる。

自分でするのも恥ずかしいけど、リーダーにってなるともっと恥ずかしい。


でも本当は……それだけじゃない。


「じゃあ、時間見て来てね?」

ワザとらしく小首を傾げる。

「お…おう」

この仕草にリーダーは弱いらしく、ポッと顔を赤らめた。

その姿はさっきまでとは違ってちょっと可愛い。


少しだけ……

ほんの少しだけ、1人になりたいんだ。


でも、やっぱり一緒にいたい。


我ながらワガママだって思うけど、これくらいはいいよね?


サッと浴室に入って、中を掻きだして後処理をする。


出しっぱなしのシャワー。

本当はもったいないからすぐに止めたい。


でも……止められない。


「うっ…くっ…」

必死に声を押し殺して泣いた。

シャワーを頭から被って、溢れ出る涙をすぐに流す。


日に日に大きくなるリーダーへの想いが、決して望んではいけない事を望んでしまう。


一緒に……

『ずっと』一緒にいたい。


ねぇ、これを伝えたらリーダーはどんな顔をする?

ねぇ、これを伝えたらリーダーはなんて返事をする?


その答えは見つからないけど……

俺はリーダーを困らせるような事はしたくない。


「出来たか?」

「…っ、あ…うん、終わったよ」

慌ててシャンプーを手に取ると、わしゃわしゃと髪を洗う。

「あー、また泡が目に入るぞ」


それがわかってるからこそやってる。

これなら、目が赤くなっても誤魔化せるから……


「あぁー、痛いぃぃぃ」

「ほら、こっち向け」

「うわっ!げほ…っ、止めて…よ」

シャワーの水が勢いよく顔にかけられて泡が流れ落ちる。

「ふふっ、綺麗になったぞ」


目を開けると俺の大好きな笑顔。


俺はこの笑顔を奪う事は絶対に……しない。

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