まだ見ぬ世界へ
第2章 愛のカタマリ
「最後はやっぱりこれよねー」
うげっ……
最後に出てくるとはわかっていても、母さんの持つフルーツたっぷりのホールケーキに軽く胃もたれを覚える。
父さんに至っては見もしない。
「おー、フルーツてんこ盛り」
「うまそー」
「でしょー?一目でこれに決めたのよ。あっ、潤!引き出しからライターとって」
この3人にとってまさにデザートは別腹。
母さんがテンション上がるのはわかるけど、あれだけ食べた翔兄と潤まで目を輝かせてる。
スイーツ男子ってヤツか?
「ちょっと母さん、多くない?」
「だって仕方ないじゃない。19歳なんだから……」
綺麗に盛り付けているフルーツの周りに、グサグサとロウソクを差すから見た目が台無し。
「数字のヤツ、売ってなかった?」
「あったけど……これ、タダなんだもの。それにたくさん消せる方が楽しいし……」
いやいや、子どもじゃないんだから……
「こうやってみんなでお祝いできるのも最後なんだから」
……えっ?
ローソクを差し終えた母さんの顔は少し寂しそうだった。
「ちょっと母さん!」
翔兄があからさまに慌てるのを見て、俺の頭は真っ白になった。
これが最後って……どういう事?
「母さん……」
「じゃあ、火……つけるよ?母さん、電気消して」
チャッカマンを持った潤が俺の言葉を遮った。
「はーい。ほら、主役はケーキの前よ」
「……あ、うん」
母さんがボーっとしてる翔兄の背中を押して、ケーキの前まで連れていく。
「カズ」
「えっ?」
「なにボーっとしてんだよ」
「あっ、ごめん……」
立ち尽くしていた俺の背中をグイグイ押してきた。
「ほら、兄貴。ロウが垂れるから消して」
「あぁ、わかった」
一瞬で消えたロウソクの炎。
「おめでとう、翔」
「ありがとう」
みんなの気持ちの籠った拍手の中に紛れて、俺は乾いた拍手をしていた。
うげっ……
最後に出てくるとはわかっていても、母さんの持つフルーツたっぷりのホールケーキに軽く胃もたれを覚える。
父さんに至っては見もしない。
「おー、フルーツてんこ盛り」
「うまそー」
「でしょー?一目でこれに決めたのよ。あっ、潤!引き出しからライターとって」
この3人にとってまさにデザートは別腹。
母さんがテンション上がるのはわかるけど、あれだけ食べた翔兄と潤まで目を輝かせてる。
スイーツ男子ってヤツか?
「ちょっと母さん、多くない?」
「だって仕方ないじゃない。19歳なんだから……」
綺麗に盛り付けているフルーツの周りに、グサグサとロウソクを差すから見た目が台無し。
「数字のヤツ、売ってなかった?」
「あったけど……これ、タダなんだもの。それにたくさん消せる方が楽しいし……」
いやいや、子どもじゃないんだから……
「こうやってみんなでお祝いできるのも最後なんだから」
……えっ?
ローソクを差し終えた母さんの顔は少し寂しそうだった。
「ちょっと母さん!」
翔兄があからさまに慌てるのを見て、俺の頭は真っ白になった。
これが最後って……どういう事?
「母さん……」
「じゃあ、火……つけるよ?母さん、電気消して」
チャッカマンを持った潤が俺の言葉を遮った。
「はーい。ほら、主役はケーキの前よ」
「……あ、うん」
母さんがボーっとしてる翔兄の背中を押して、ケーキの前まで連れていく。
「カズ」
「えっ?」
「なにボーっとしてんだよ」
「あっ、ごめん……」
立ち尽くしていた俺の背中をグイグイ押してきた。
「ほら、兄貴。ロウが垂れるから消して」
「あぁ、わかった」
一瞬で消えたロウソクの炎。
「おめでとう、翔」
「ありがとう」
みんなの気持ちの籠った拍手の中に紛れて、俺は乾いた拍手をしていた。